2004年8月27日
福祉のスペシャリストに
一本の小さなピンが右に左に動きながら、用紙に点字を打ち込んでいく。点字プリンター「アーチBP2」は、福祉で社会に貢献したいと昨年発足した企業組合カトレア・サービス(名古屋市)が開発した福祉機器の第一号だ。
担当した赤崎倫夫さん(53)=常滑市=は、二年前まで大手生命保険会社で営業関係の仕事をしていたが、早期退職を求められて再就職支援会社へ通った。そこで同じ生保会社にいた五十代の仲間二人と出会い、厳しい再就職には見切りをつけて同組合を設立。「会社勤めの時も顧客は私についてくれていると思っていましたから」と、会社に頼らない生き方を選んだ。
知的障害者向けの福祉サービスと並び、機器の開発も仕事の柱。赤崎さんは駅の点字料金表示のミスを知り「点字が読めない人でも分かるようにするのが本当のバリアフリー社会ではないか」と、印刷した文字(墨字)と点字を重ねて印刷できる点字プリンターの必要性を思いついた。
知人の技術者と二人三脚で昨秋から開発着手。ワープロの文書に点訳したデータを重ねて印字できるように工夫。透明シールや名刺大の普通紙にも印字可能にして珍しい多機能型に仕上げ、価格も三十万円台に抑えた。名古屋市の視覚障害者の男性(61)は「個人に手の届く値段と知って早速購入しました」と、趣味のカラオケの歌詞を印字して楽しんでいる。
全国から引き合いがあり、説明に飛び歩く。「現場に出ればアイデアがわいてくる」といい、車いす用の家庭向けの据え置きリフトも近く送り出す。「せっかく会社を辞めたんだから、気力と体力がある限り続けられ、社会に直接役に立てる福祉のスペシャリストを目指したいね」 |