<壮春グラフィティ>
子どもに負けない笑顔 児童デイサービスに取り組む
企業組合代表理事 赤崎倫夫さん(61)
2012年1月18日
名古屋市西区にある木造二階建ての児童デイサービス施設「アーチきくい」。裏の敷地で、子どもたちが跳躍器具で跳ねたり、ブランコのようなものに乗って遊んでいた。「発達障害の子のリハビリにもなるんですよ」。赤崎倫夫さんは、優しく子どもたちを見守る。
大手生命保険会社で営業関係の仕事をしていた赤崎さんは二〇〇二年、早期退職を求められて再就職支援会社へ。同じく生保に勤めていた五十代の男性二人と出会った。五十歳を超えると再就職は厳しい。「社会的に意義のある仕事を自分たちで」とヘルパーの資格を取るなどして〇三年、企業組合カトレア・サービスを設立した。
現在は「きくい」を含め、市内三事業所でサービスを提供。障害のある幼児、児童約五十五人が利用している。移動支援など、大人向けのサービス事業にも取り組む。
「職員の熱意だけに頼らず、働き続けられる職場環境を」と考えていたが、本格的に事業を始めて二年目、いきなり赤字に陥った。障害者自立支援法の施行で、報酬単価が大幅に切り下げられたためだった。三年間、職員の賞与が払えず、代表理事と理事の年収は百万円となった。
そんな危機の時代を支えたのが、赤崎さんが技術者と一緒に開発した多機能点字プリンター。さまざまな大きさ、材質の紙に印字でき、点図も大きな点字も書ける。特に地方自治体からの引き合いが多く、その収入で何とか持ちこたえた。
〇九年に報酬の上乗せが始まり、持ち直してからは、職員のワークライフバランス(仕事と生活の調和)や研修に力を入れるように。他施設との共同研修にも取り組む。
全く畑違いの仕事から飛び込んだ福祉の世界。分からないことがあれば、自らも遠方まで足を運び、教えを請う。「子どもたちのためになる」と思えば、何でも積極的に取り入れ、東日本大震災では被災地支援も。
デイサービスで、子どもたちは親と学校の先生以外の大人や仲間と接して成長する。けんかになることもあるが、その子の特性をちゃんとつかんでいれば安心して見ていられる。
今春、児童デイサービスの制度が変わり、中学生や高校生も受け入れる。場所や時間のやりくりをどうするか、悩みの種が増えた。「でも、子どもたちの純粋な顔を見ていたら、ストレスなんて無くなるんですよ。離れられません」。子どもたちに負けない笑顔になった。 (境田未緒)
中日新聞ウェブ http://www.chunichi.co.jp/article/living/life/CK2012011802000041.html
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