2023年4~5月に発覚したダイハツの不正問題について、2023年12月20日、その調査報告の内容が公開されました。
不正を調査、検証する過程においては、新たに174個もの不正が見つかったと報告されており、ダイハツでは当面の間、全車種の出荷を停止することに。
ダイハツユーザーをはじめ、関連企業や従業員など、多方面で大きな影響が出ることが予想されます。
この記事では、
●ダイハツの従業員は今後どうなる?
●ダイハツの従業員の給料はどうなる?
について、気になることをまとめてみました。
ダイハツ従業員は今後どうなる?
国の認証不正問題で大きく揺れているダイハツですが、そこで働く従業員はどうなるのか、気になる人も多いのではないでしょうか。
不正問題が大きく報道されてから、Xでも様々な意見であふれました。
ダイハツの不正、従業員は、どうなると?
生活があるやろう
@kiyotaka_uehara/Dec 20,2023ダイハツ不正の一番の被害者は期間従業員じゃないのか? 日野自動車の事案を見ても生産再開まで半年から1年かかってるから退職する人もおるじゃろ 可能ならTOYOTAの工場で雇ってくれるのかな?
@yamadandy2/Dec 20,2023ダイハツ不正これ現場の従業員上司やら親会社とかの圧力のせいで救いない状態だったから販売停止→売り上げ低下→給料払えないとか首切られるとかになったらマジで終わってるので守ってあげてほしい 監督側は知らん
@yKicchan/Dec 21,2023ダイハツの従業員の収入の保証どうなるんかなー休業になると給料満額でないと思うんやが…それともダイハツがちゃんと保証するんかなー
Xより
@guraburu_yukiya/Dec 21,2023
ここでは、従業員の今後の5つの道筋についてみてみます。
●正社員のまま継続する
●大量リストラが起きる
●トヨタに吸収合併される
●下請けの製造部門になる
●他企業に転職する
詳しくみていきましょう。
正社員のまま継続する
ダイハツ従業員の今後について、一つめの選択肢は、
正社員のまま継続する
ということ。
現場が稼働しなくなるからといって、仕事がなくなるわけではないですね
これまで販売した車の保守やメンテナンスほか、今回の不正問題を受け、契約済みお客様へ謝罪や対応などやるべきことはたくさんあります。
不祥事を起こしたから、工場が稼働停止になったからといって仕事がなくなるわけではなく、顧客への説明や補償をしっかり行うなど、企業としての信頼を取り戻すことに注力していかなければなりません。
大量リストラが起きる
ダイハツ従業員の今後について、二つめの選択肢は、
大量リストラが起きる
ということ。
今回の問題を受け、2023年12月25日からダイハツでは全車種の出荷停止が決定されました。
そのため、少なからずダイハツ内では事業縮小が起きることが予想されます。
事業縮小により、どれだけ他部門や関連企業で従業員の受け入れを調整したとしても、人員整理の波が起きてしまうのはやむを得ないかもしれません。
トヨタに吸収合併される
ダイハツ従業員の今後について、三つめの選択肢は、
トヨタに吸収合併される
ということ。
2016年8月にトヨタはダイハツを完全子会社化していますが、今回ダイハツの不正を把握することができなかった責任は、親会社であるトヨタにも当然あるわけですね。
ダイハツブランドを消滅させる場合、ダイハツでの権利義務をトヨタに移転させる必要が出てくるそうよ
人事や労務の条件についても、ダイハツでの制度が、トヨタでも承継されるように検討する必要がある、ということですね。
また、労働契約法においても、
会社の一方的な都合で、従業員が不利益になるような人事制度・労務条件の変更を行うことは原則できず、もし行う場合には従業員の合意が必要である
労働契約法9条
働く会社が変わったとしても、従業員が不利にならない一定の条件や環境を整えることが求めらるわけですね。
下請けの製造部門になる
ダイハツ従業員の今後について、四つめの選択肢は、
下請けの製造部門になる
ということ。
OEMにより、トヨタほかマツダ、スバルなどの車も製造しているダイハツ。
それだけに、今回の不正問題は広範囲化、かつ複雑化すること必至ですね
今回の不祥事により、“ダイハツブランド”に相当の痛手を負ってしまったので、不正にかかる対応を終えて以降も、これまでと同じように事業を続けていけるかとどうかは未知数です。
そこで出てくるのが、ダイハツという名称を消し、トヨタほか関係企業の下請けの製造部門になる道筋。
これまで少なからず得意としてきたダイハツの技術を生かせることができますね。
他企業に転職する
ダイハツ従業員の今後について、五つめの選択肢は、
他企業に転職する
ということ。
「日刊自動車新聞 電子版」によると、ビッグモーターの保険金不正請求問題が起こった時も、
2023年1月~3月の間に約1000人の社員が退社した
と報道されています。
今後のダイハツの動向を見据えて退職、転職する人が増えることは十分に考えられますね
ただ、従業員側の問題もさまざまなので、一気にではなく断続的に退職者が出ることも予想されます。
<従業員のかかえる事情>
●高齢のため転職できるような年齢ではない
●手に職がなく、転職が厳しい
●ローン等を抱えていて、先に転職先が見つけなければ転職できない
など
今後、どれだけダイハツ側が労働環境を整えるかにもよりますが、転職したくてもなかなかできない人がいる一方で、優秀な技術者が外に出てしまい、結果人材の偏りが生まれる可能性があります。
ダイハツ従業員の給料はどうなる?
続いて、このような大きな不祥事が起こった時に気になるのが、従業員の“給料はどうなるのか”ということ。
労働基準法第26条には、休業補償について次のように定められています。
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。
今回、ダイハツ側の理由により休業を行うとするならば、賃金の6割以上の休業補償をしなければならない、ということになります。
法的には賃金の6割以上が補償されるということですね
また報道によると、
ダイハツ工業の労働組合は22日、認証不正問題を受けて稼働を停止する工場の従業員らに関し、休業期間中は通常時の給与の9割を補償するよう会社に求めていることを明らかにした。
2023年12月22日Yahoo!ニュース
従業員の多くは「まさか…」という気持ちで寝耳に水の状況かもしれません。
法的には6割以上の補償と書かれていても、従業員からすると到底納得できるものではありませんね。
従業員の日常がこれまでどおり維持できるよう、ダイハツ側はきちんと補償をしてほしいですね。
ダイハツ不正問題の根源は“経営陣”にあり
2023年12月20日に公表された調査報告書によると、不正を調査、検証する過程では、新たに174個もの不正が見つかりました。
しかも、不正は1989年から始まったとか
30年以上も前から当たり前のように不正がなされていたと考えると、残念以外のなにものでもありません。よほど根深い問題であることがわかりますね。
この不正問題の責任の所在ですが、多くの製造業企業に対してコンサルティングを手がけてきた組織開発の専門家、勅使川原真衣さんによると、
テレビ番組のコメンテーターなどからは、『個人の倫理観』についての言及もありました。しかしまずもって、個人の倫理観の問題でない。まじめな社員が、“ちゃんと”目標達成に向けて動いた結果であることを、ニュースの受け手は考えるべきです。
つまり本件は、生産性至上主義とトレードオフになりやすい実直な職務遂行や、他者との協働が蔑ろにされた結果であり、その点にいち早く気づき、軌道修正して来れなかった経営幹部の問題です。
2023年12月21日ハフポスト
ダイハツは従業員を守ってくれるのかな
記者会見でもダイハツの奥平社長が経営陣の責任って言ってましたね
Xでも、
“ダイハツの従業員はまじめに仕事していたのに会社の不祥事に巻き込まれてやりきれない”
“このような状況下でも従業員は前を向いていてすごい”
という意見が散見されました。
決して許されることのない不正ですが、誠実に謝罪し、前を向いて再建を誓ったダイハツ工業。
相応の時間がかかったとしても、従業員と経営側が一丸となって、また新たなダイハツを築いてほしいですね。